ピロリ菌と検査のお話

1. ピロリ菌とは何ですか?
・正式名はヘリコバクター・ピロリという細菌で胃の中に生息しています。
・ピロリ菌はアルカリ性のアンモニアを作り、
強い酸性の胃の中でも生きられます。
・ピロリ菌は慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がんの原因となっていると
言われています。1)

2. ピロリ菌にはどのように感染しますか?
ピロリ菌は口から感染し、特に感染しやすいのは小児期と考えられています。
上下水道の整備がされていない衛生環境下での水系感染や、水系感染が稀(現在のわが国)な状況では、
家庭内特に母子あるいは父子感染が主な経路だと考えられています。2)
3. ピロリ菌は除菌したほうがいいですか?
・ピロリ菌による病気の改善や予防につながります
ピロリ菌を除菌することで、ピロリ菌感染による胃がんの発生・再発率が半数から1/3に減少することや、
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は再発をほぼ抑制できることが分かっています。1)
・ピロリ菌を除菌することによって、次世代へのピロリ菌感染を予防することが可能です。
4. ピロリ菌検査・治療が保険診療で出来るのはどのような場合ですか?
2013年2月から内視鏡検査で「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」と診断された人は、保険を使ってピロリ菌の
検査・治療を受けることができるようになりました。
5. 当院で実施しているピロリ菌の検査
ピロリ菌を検査するにはいくつかの方法がありますが、当院では健診の場合は血液検査のみ行っております(自費)。
外来の方は消化器内科をご受診頂き、検査方法など医師とのご相談が必要です。
① 血液検査によるヘリコバクター・ピロリ抗体検査
血液中にピロリ菌に対する抗体があるのかどうかを調べる検査です。
簡便なので広く用いられますが、除菌が成功した後でも陽性が続くことがあり、
注意が必要です。

健診当日に健診の採血と同時に検査できます。
検査料金:¥2,200(税込み)
消化器内科をご受診頂き、医師の指示のもと必要に応じて採血となります。
検査料金:健康保険種別により、自己負担額が異なります。
② 尿素呼気試験
当院ではユービット(UBIT)というお薬を使用し、検査薬を服用する前と後の呼気を検査用パックに吹き込み、ピロリ菌感染の有無を診断します。
ユービットは尿素(13C)を主成分としており、ピロリ菌が存在している場合は、ユービット服用後に胃内で尿素が分解され、二酸化炭素(13CO2)が発生します。
この二酸化炭素が呼気中に排出されるため、呼気を採取して分析することでピロリ菌感染の有無を判定します。

検査料金:健康保険種別により、自己負担額が異なります。
当院では尿素呼気試験の検査開始6時間前からの絶食と、2時間前から絶飲・禁煙が必要です。結果は検査後2週間後以降に消化器内科をご受診頂きご説明となります。
③ 便中ヘリコバクター・ピロリ抗原
専用容器を用い採便し、便中のピロリ菌抗原を測定してピロリ菌の有無を調べる検査です。
検査料金:健康保険種別により、自己負担額が異なります。
1)参考資料:日本ヘリコバクター学会「ピロリ菌に関するQ&A」
2)参考資料:日本ヘリコバクター学会ガイドライン作成委員会「H.pylori感染の診断と治療のガイドライン」